フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜

 これまでの穂乃香は、周囲に遠慮して、甘えたり弱音を吐くことができなかった。けれども何もかもを受け止めて、包み隠さず曝け出して誠意を尽くし、熱い想いを真っ直ぐに伝えてくれる奏になら、何もかも曝け出したいと思うのだ。

 誰にも心を許せず殻に閉じこもってばかりいた穂乃香の姿はもうどこにもない。

 穂乃香は奏の頬にそうっと手のひらで触れると、想いのままに言葉を紡ぎ出した。

「私もです。私も奏さんの目に他の女性が映らないように、ずっとこうしていたいです」

 奏はしばし驚いたように瞠目しフリーズしていたが、ふっと困ったような笑みを漏らすと、穂乃香の身体をぎゅっと胸に掻き抱く。そうして、苦しげな声音を響かせた。

「……そんな可愛すぎること言われたら理性が飛ぶだろ」
「そ、そんなつもりじゃ」

 思わずそう口走ってしまった穂乃香の身体を腕から解いた奏が背後から顔を覗き込んでくる。

 奏の眼差しは蕩けそうなほど甘やかで、穂乃香は知らず魅入ってしまう。

 ぽうっと奏のことを見上げている穂乃香をうっとりするほどの微笑を浮かべた奏が、表情同様の甘やかなバリトンボイスで囁きかけてくる。

「そういう無自覚な穂乃香が愛おしくて堪らないんだ。他の女性のことなんて目にも入らない。俺が愛するのは、生涯、穂乃香だけだと誓う。それだけは自覚していてほしい」
< 179 / 254 >

この作品をシェア

pagetop