フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜
穂乃香のお強請り攻撃に、奏の身体がピクリと反応し、そのままゆっくりと半身を起こした奏に熱い眼差しで見下ろされる。
昨夜と同じ欲に塗れた雄を彷彿とさせる、妖艶な色香を纏った奏の姿に、思わず息を吞む。と同時、奏の美声が降り注ぐ。
「昨夜といい、今といい。穂乃香は、俺を煽ることにかけて、天才としか言い様がないな。だが、こんなにも俺の余裕を根こそぎ奪っておいて、穂乃香は随分と余裕なんだな」
その声は、心なしか拗ねているように聞こえる。何より、不遜な表情をしているようにしか見えない。
てっきり、唇を奪われるものだと思っていた。そしてそのまま甘やかな時間へと移行するものだと。なのに、奏から予想外な言葉が返ってきて、穂乃香はポカンとなる。
――へ? どういう意味? そんなつもりなんて、まったくないんですけど。
そりゃあ、無理もない。
穂乃香には、お強請り攻撃を繰り出したつもりもなければ、それによって奏を煽りに煽っている自覚など皆無なのだから。