フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜
『ですが、穂乃香様がもしも奏様を裏切ろうものなら、容赦はいたしません。最悪、東京湾で沈んでいると思ってくださいね』
聞いた瞬間、穂乃香に戦慄が走った。背中にはタラリと冷たいものが流れていたくらいだ。
数秒後、さっきの般若のごとく表情は錯覚かと思うほどの速さでにこやかな笑顔に変化していた。
『穂乃香様、そんなに怖がらなくとも大丈夫でございますよ。冗談でございますから』
笑顔同様の穏やかな声音でフォローしてはいたが、余計に怖さが引き立っていたし、あの怖い表情と鋭利な目つき、あれは絶対に本気だった。
――もう既に誰かを闇に葬り去っていたりして……。
思い出しただけで身震いしてしまった穂乃香は、今後何があろうと、この柳本だけは敵に回してはいけないーー改めてそう心に固く誓ったのだった。