フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜
「奏様の搭乗されている航空機に、なんらかのトラブルがあったようなのです。それで着陸を見合わせているようでございまして」
予感が的中し、穂乃香は全身から血の気が引くのを感じていた。呼吸も乱れ、息が苦しくなってくる。心臓も嫌なノイズを刻み始めた。
生きた心地がしない。このまま仄暗い闇に取り込まれてしまいそうだ。
そこに再び柳本の落ち着き払った低い声音が耳に流れ込んでくる。
「穂乃香様、奏様のことを案じるお気持ちはわかりますが、我が国での航空機事故の確率は、〇.〇〇〇九パーセントと言われております。四三八年間毎日搭乗して一度という、確率でございますので、ご心配には及びませんよ」
その言葉は、穂乃香に言い含めるようであり、柳本自身に言い聞かせるようでもあった。
柳本の立場上、そうしなければならないのは、理解できる。
ーーけれど心が追いつかない。
奏の身を案じるあまり、感情的になってしまった穂乃香は、強い口調で柳本に食ってかかってしまう。
「よくそんな冷静でいられますね? いつも奏様、奏様って、神を崇めるように付き従ってるクセに、柳本さんは奏さんのことが心配じゃないんですか?」