フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜
「そういえば、ご結婚されたばかりだそうで、おめでとうございます」
「そうなんですね。それはおめでとうございます」
「ありがとうございます。美桜さんもこの春、双子のお子さんをご出産されたそうで、おめでとうございます。今後ともどうぞよろしくお願い致します」
「ありがとうございます。そんなに畏まらなくても大丈夫ですよ。締結式も終わりましたし、ゆっくり寛いでください。といっても、奏さんのことが気にかかるでしょうから。控え室に案内させますので、そちらで休まれた方がいいのでは」
「そうですね。そうしてください」
「いいえ、そういうわけには……」
穂乃香が奏の代理としてプロジェクトの締結式に臨むに当たり、尊には事情は全て伝えてあった。妻である美桜にも伝わっているようだ。
こうして気遣ってくれるのは、非常に有り難いし、心に沁みる。
だが奏の代理として最後まで勤め上げなければならない。という使命感もあるが、それより今ひとりになってしまったら、余計なことを考えてしまう。そうなれば不安に押し潰されて、闇に取り込まれてしまうに違いない。
だったら今はこうして、奏の代理として務めていることで気を紛らわせたいというのが本音である。
尊と美桜の優しい心遣いにやんわりと断りを入れようとしたところで、少し離れて控えてくれていた柳本に動きがあった。