フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜
――こんな男のどこが良かったんだろう?
心から誰かを愛するという気持ちを知った今の穂乃香には、自分のことだというのに、この男を受け入れてしまった気持ちがまったく理解できない。
こんな男と言い合っているだけ時間の無駄だ。
穂乃香は、この不毛なやり取りを終わらせるために核心へと切り込んだ。
「何を今更! 慰謝料を取り戻したいだけでしょ!」
「旦那から俺のことを色々と聞かされてるようだな。だったら話が早いな。旦那と別れて俺とよりを戻してほしい」
けれども男の主張は変わらなかった。
――だったら、もう話すことはない。何を言っても無駄なだけ。
「わかった。何を言っても無駄なようだから、今すぐ出てって! 出て行かないなら人を呼ぶわよ!」
「ああ、いいよ。ただし、旦那の命と引き換えだけどな」
「ど、どういう意味よ!」
「今回のは『爆破予告』で済んだが、今度はそうはいかないってことだよ」
何やら愉しげに不敵な笑みを湛えて零した男の不穏な台詞に、一瞬、何のことだかわからず困惑させられたが、すぐにピンときた。
「も、もしかして……」
「さすが、穂乃香だな。察しが良くて助かる。だったら、どうするのが正解かわかるよな?」
どうやら、予想は当たったようだ。