フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜
――か、奏さん。
穂乃香が心の中でそう呟くと同時、奏の背後から駆け込んできた数人の男性の姿を認めた刹那、穂乃香に覆い被さっていたはずの男の身体が真横に吹っ飛んだ。
その様を茫然と見守ることしかできずにいた穂乃香の身体は、奏の逞しい腕によってしっかりと抱き込まれていた。
待ちに待った、愛おしい旦那様の香りとぬくもりとに包まれて、言い尽くせないほどの安堵感と幸福感が胸の中にじんわりと染み渡るように満ちてゆく。
そんな中、心配そうな奏のバリトンボイスが穂乃香の鼓膜を甘く震わせる。
「穂乃香、ケガはないようだが、大丈夫なのか?」
その愛おしい声音に導かれるようにして顔を上げると、走って駆けつけてくれたのだろうか。いつもは綺麗に整えられているはずの髪は乱れ、端正な相貌には汗の雫までもが見て取れる。
それなのに、いつにも増して輝いて見える。