フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜
「その男たちは、セキュリティ会社の社員だが、到着次第警察に引き渡すことになる。それを承知の上で、こんなバカなことをしでかしたんだろう? 自業自得だな。だがそのおかげで、証拠を手に入れることができたし、お前を穂乃香から引き離すことができてこっちは助かったよ。それに関しては礼を言っておく」
淡々としたその声音は、穏やかな口調ではあるが、底冷えするほどの怒気が滲み出ており、聞いてるだけで背筋がゾクゾクとする重低音に背筋が伸びる心地がする。
そこに負け犬の遠吠えにしか聞こえない、男の乱暴な声が放たれた。
「証拠だと? そんな戯言に騙されねーぞ。どうせはったりだろう。そんなもんにのるかっ!」
「カマをかけたつもりはない。事実を言ったまでだ。自分の目で確かめるといい。柳本、頼む」
けれど奏は歯牙にもかけない素振りでキッパリと言い放つと柳本に指示を出す。
いつからそこにいたのだろうか。
いつぞやのように奏に呼ばれて姿を現した柳本の手には、タブレット端末が見て取れる。それを男の眼前で掲げた瞬間、それまで威勢のいいことを言っていた男の顔からサーッと見る間に血の気が引いていく。
どうやら画面に、奏の言う証拠とやらが映し出されていたのだろう。
それでもにわかに信じられないと言った様子で男が苦々しい声を漏らした。
「そ、そんな……バカな。どうやって」