フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜
海外旅行なんて経験のなかった穂乃香としては、一日でも多く海外旅行を満喫したいので少し控えてほしいのだが、奏があんまり幸せそうにしているものだから、強くは言えないでいる。
おそらく、これが贅沢な悩みというものなのだろう。といっても、別に嫌なわけじゃない。
心から愛おしい相手である奏に求めてもらえるのだ――嫌なわけがない。
これまでずっと気になっていたあのルールを気にしなくていいのだから、殊更だ。
どういうことかというと、今を遡ること二週間前。奏の独断で決行された今回のロサンゼルス旅行は、あのルールをなくすための強硬手段として計画されたものだ。
それまでにも奏は父・恭一を説得するために何度も実家に足を運んでいたのだが、頑として首を縦に振ろうとしない、頑固な恭一の態度に呆れ果ててしまったらしい。
そこで自分の覚悟がどれほどかを知らしめるために、秘密裏に進めていたロサンゼルスへの移住計画を決行することになったのである。
といっても、以前奏が言っていたように、それはあくまでも表向きにであって、本当に移住するつもりだったわけではない。