紳士な俺様社長と離婚前提の契約婚!?
お試し期間は三ヶ月で

 どうやら穂乃香の醸し出す香りに一目惚れならぬ一嗅ぎ惚れをしたという社長に求婚されたものの、いきなりすぎて頭が追いつかない。

「と……突然、そのようなことを言われましても」

 困惑しきりの穂乃香に社長は自分の特殊な性癖について朗々と語りはじめた。

「俺は人より匂いに敏感なところがあるんだが。匂いは体調により変化するようだ。といっても素の匂いは変わらない。その人にしかない独特な匂いを醸し出しているんだ。これまでの経験上、好ましい匂いを醸し出す女性との波長も合うようなんだがどうもしっくりきたことがなかった。だが俺の好みにピッタリな匂いを醸し出す女性との肌の相性が抜群にいいというのがわかった。君と出会ったおかげだよ。匂いも肌の相性も抜群だった君とならきっと上手くやっていけるに違いない。結婚するなら君しか考えられないんだ」

 性癖というのか特技というのか所々に不可解すぎる要素が混じっていて、一体何を言っているのだろうか、と理解に苦しんだが。

 社長はどうやら思い込みが激しい上に、匂いに敏感だという不可解な特技を有しているというのはわかった。

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