紳士な俺様社長と離婚前提の契約婚!?

 おそらく匂いフェチなのだろう。

 ーーつまり、社長はあの夜直感したとおりの変態だったってことですね。なるほど。よーくわかりました。

 けれどもいくら変態とはいえ相手はこれからお世話になる会社の社長。

 しかも直属の上司であるボスなので、ここはぐっと呑み込んでおくことにする。

「よくわかりました。私の匂いが気に入っただけであって、私自身のことを好きだからという訳ではないんですよね?」

 ーーだったら、結婚なんてお断りだ。変態とはいえ仮にも大企業のトップに立つ社長なのだ。話せばわかってもらえるはず。一刻も早く諦めてもらわなくては。

 社長は地位と名声おまけにハイスペックな自身の見かけにも、不可思議な特技にもさぞかし自信があるのだろう。

 何とか冷静になってもらおうと投げかけた穂乃香の問いかけに一瞬は同意したものの、穂乃香を好きになるのはもちろん好きにさせるのも、さも当然とばかりに言い放つ。

「まぁ、今はそうだが。一緒に時間を共有しているうちにお互い好きになるはずだ。だから君と結婚したい」

 何より社長が纏う気迫からも、何が何でも穂乃香と結婚するつもりであるらしいことが窺える。

< 26 / 252 >

この作品をシェア

pagetop