フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜


 おそらく匂いフェチなのだろう。

 ーーつまり、社長はあの夜直感したとおりの変態だったってわけですね。なるほど。よーくわかりました。

 そう言ってやりたいところだが……いくら変態とはいえ、相手はこれからお世話になる会社の社長。

 しかも直属の上司であるボスなので、出かかった言葉はぐっと呑み込むことにする。

「よくわかりました。私の匂いが気に入っただけであって、私自身を好きになった訳ではない、ということですよね?」

 ーーだったら、結婚なんてお断りだ。一刻も早く諦めてもらわなくては。

 仮にも大企業のトップに立つ社長なのだから、話せばわかってもらえるはず。

 何とか冷静になってもらおう、と投げかけた穂乃香の問いかけに一瞬は同意したものの、穂乃香を好きになるのはもちろん、好きにさせるのも、さも当然とばかりに言い放つ。

「まぁ、今はそうだが。時間を共有しているうちにお互い好きになるはずだ。だから君と結婚したい」

 社長はハイスペックな自身の見かけにも、不可解な特技にも、さぞかし自信があるのだろう。

 何より社長の纏う気迫や言動からは、何が何でも穂乃香と結婚するんだ、という気概が窺える。

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