紳士な俺様社長と離婚前提の契約婚!?
確かに悩みの種はなくなったけれど、それ以上に大きな悩みの種ができてしまった。
一難去ってまた一難。
ーー私はどうもついてないようだ。特に男運が壊滅的に。
おそらく元彼に婚約破棄されたあの夜、運も尽きてしまったのだろう。
「そうだなぁ、君はちょうどいいことに秘書課勤務だし。お試し期間は試用期間と同じにしよう。三ヶ月後にはプライベートでも俺のパートナーになってもらうことになるし、よろしく頼むよ。心配しなくても、結婚して一年経っても君が俺のことをどうしても好きになれないというなら、その時はキッパリと諦めて離婚する。わからないことがあれば第一秘書の柳本に聞くといい」
「……」
「柳本、後は任せた」
「承知致しました」
ーーこれって、パワハラなんじゃないの? 個人情報もへったくれもない。なんて言って訴えると反発したところで、どうせ揉み消されるんだろうなぁ。
上機嫌でこれからのことについての説明を繰り出している社長と嬉々とした様子で社長の指示を受ける秘書の声が響く中、穂乃香は頭を抱えて項垂れるしかなかった。