紳士な俺様社長と離婚前提の契約婚!?
お触り禁止でお願いします
穂乃香が竹野内グループに中途入社してから早いもので一月が経とうとしている。
出勤初日、変態男との思いがけない再会を果たした。まさか変態男が社長だなんてついてないにも程がある。
それだけでも驚きだというのに……。いきなりプロポーズまでされて即座に断るも、強制はしないと言いながらも断れない状況に追い込まれた。挙げ句、三ヶ月のお試し期間まで設けられてしまった。
その期間中に社長の人となりを知ったところで、交際なんてする気になれるはずがない。ましてや結婚なんて考えられないというのに……。
――このままだと試用期間が終わると同時に入籍されてそうで怖い。
出勤初日の緊張感とは違った感情に埋め尽くされてしまった穂乃香の心は、不安一色で塗りつぶされてしまっていた。
けれども元々生真面目な性格の穂乃香には、転職したばかりで退社するという選択肢などなかった。
正確には、弟の奨学金の一部を肩代わりされているのだから、穂乃香に逃げ場などないのだが。
それでもなんとかして社長の気持ちを自分から他に向けられないだろうか。そのことで頭の中は占拠されてしまっていた。