フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜
別に社長がどうというわけではない。
男性経験が元婚約者だけだった穂乃香は一夜の過ちなど犯したこともなく、どうすればいいかがわからないのだ。
「し、仕事中に困りますっ」
そのせいで即座に返した言葉は、蚊の鳴くような頼りないものとなってしまった。
それなのにそんな穂乃香の心情など手に取るように理解しているとでも言うように、くすっと微笑を漏らした社長はなおも甘い囁きで穂乃香の心を惑わせる。
「今は移動中だから許してほしい。それに、君にも責任がある。いつも仕事モードで武装している穂乃香が隙なんて見せるからいけないんだよ。だから責任とって穂乃香の香りを堪能させてほしい。そうしないともう限界なんだ。こんな状態じゃ会議に集中できそうにないよ」
穂乃香が第二秘書として社長に付き従うようになってからこの一月近くの間、こんなこと一度もなかった。
だから油断してしまっていたのだ。
けれどもこんなにもしっかりと腕に包囲されて、そんな風に熱のこもった台詞を囁かれてしまっては、振りほどきたくとも身動きさえもままならない。