フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜

「もう終わったことだ。今更お前を責めてどうなるものでもない。それにまさかここまで姑息な手を使うなんて思わなかったしな。だが、二度目はないと思え」

 怒りを孕んだ低い声音を響かせ、感情を何とか抑えようとするかのように、穂乃香の身体をひしと抱き寄せた奏と、いつになく打ちひしがれている様子の柳本の話は進んでいく。

 奏に離してくれと文句を言おうにも、そういう雰囲気ではない。穂乃香は致し方なく二人の話に耳を傾けていた。

「しかと肝に銘じておきます」
「で、どうだった?」
「……それが、逃げ足が速く取り逃がしてしまいました。重ね重ね申し訳ございません」

 その会話から、穂乃香が急所に一撃をお見舞いしたあの男を柳本が取り逃がしてしまったらしいことが窺える。

 会食はどうなったかというとーー

 穂乃香が中座してしばらくして、急に体調が優れないと言いだした浅葱は秘書の川谷を伴い料亭を後にしたのだという。

 その後、中座したまま戻らない穂乃香の身を案じた奏は柳本の様子がおかしいことに気づき、詰問したらしい。

 そこで、柳本の独断で、穂乃香と進めていたもう一つのミッション(穂乃香がおとりになり罠を仕掛ける)について聞き出したようだ。

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