フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜
けれどプライベートまで共にするのだから、これまで通りにはいかないのだった。
――というか、誤算だったのだ。
同居するに当たって家賃を払おうにも、奏はさも当然だとでもいうように『無用だ』と言って取り合ってなどくれなかった。
だったらこれ以上借りを作らないためにも、得意な家事で少しずつでも返していくしかない。
手始めに食事の準備でもと思い、翌朝から朝食の準備をしようとしたところ、奏のとんでもない食生活が浮き彫りになったのだ。
「え? コーヒーだけでいいって。社長、もしかして今お飲みになっているサプリメントが朝食なんですか?」
「ああ、そうだが」
サプリメントを飲む奏を前に、テレビのCMなどで見かける、イケメン俳優がミネラルウォーターのペットボトル片手にサプリメントを服用している光景か、と錯覚に陥りそうになった穂乃香だったが、何とかすぐに正気を取り戻すことができた。だがしかし。
「……『ああ、そうだが』じゃないですよ! 一日の活力の源である朝食をそんな物で済ませてたら身体壊すじゃないですか。これからはちゃんと食べてください」
奏に見蕩れていたのを隠そうとしたせいか、思わず強い口調となってしまった。
――今のはさすがに社長に対して口調がキツすぎたんじゃ……。