フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜
奏を神のように崇めている柳本が側にいたら即刻お小言を喰らっていたに違いない。
穂乃香が人知れず罪悪感に苛まれていると、奏は何やら照れくさそうにはにかむ笑顔を浮かべつつ、嬉しそうな声音を響かせる。
「新婚夫婦のようで、何だか照れくさいな」
奏に不意打ちのように向けられた甘やかな表情と思いがけない言葉に、またしても穂乃香は毒気を抜かれそうになった。だが何とか踏みとどまる。
そうしてさも何でもない風を装ったツンとした冷たい言葉であしらい、後は目の前の朝食へと意識を集中させる。
「そんな笑えない冗談言ってないで、さっさと食べてください。遅刻します」
朝から奏に調子を狂わせられっぱなしで疲れさえ感じつつあったが、淡々と箸を進める穂乃香の様子を奏が殊の外楽しそうに眺めているという、いつしかそんな構図ができあがっている。
奏との同居生活を始めてからというもの、調子を狂わされっぱなしだ。それは置いておくとして、とにかく驚きの連続だった。