フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜
それが今では、当たり前の光景となってしまっているのだから、慣れとは怖いものである。
だからといって、穂乃香にはそれを喜んで受け入れられるほどの図太い神経もないし、着こなすほどの華やかさも持ち合わせちゃいない。
故に未だ手つかずで陳列されたままという、宝の持ち腐れ状態である。
けれど大きな借りだってある上に外堀まで埋められてしまっているのだ。
このままではなし崩し的に奏と結婚させられてしまうに違いない。
もしかしたら柳本のサプライズも、二人が仕組んだことだったのかもしれないし。
――和んでる場合じゃない。しっかりしなきゃ。
元婚約者との一件で男性不信になってしまった穂乃香は、意外にも快適な奏との同居生活の中で自分の気持ちが少しずつ変化していくのを感じながらも、奏と柳本に対しての不信感を拭うことができないでいる。
いくら奏に好きだ何だと甘い言葉で情熱的に迫られようとも、どうしても元婚約者の影がチラついて信じ切る事ができないのだ。
気持ちも新たに、すっかり忘れかけていた武装モードに切り替えた穂乃香は、余計なモノに惑わされないためにもより一層仕事に励むようになっていた。
そんなこんなで奏との同居生活を始めてから早いもので二月近くが経過し、奏との生活にもすっかり慣れつつあった。
試用期間満了まで残すところ一週間、そんなタイミングでまたもや思わぬアクシデントに見舞われてしまうこととなる。