フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜
「同棲して一月が経つというのに、穂乃香は他人行儀だな。そろそろ名前で呼んでくれてもいいんじゃないか?」
どうやら呼び方が気に食わなかっただけのようだ。
それにしても、今朝はやけに吐息が熱く感じてしまうのは気のせいだろうか。
――そ、そんなことより、今日はやけに絡んでくるな。一体何だって言うの? 朝から勘弁してほしいんですけど!
穂乃香は内心切れ気味に奏への突っ込みを炸裂させつつ、ツンと澄ましてやり過ごす。
「ど、同棲ではなく同居です。それに他人なんですから名前で呼ぶ必要もありません。さ、早く席についてくださいっ!」
「はいはい、わかったよ」
ようやく諦めた様子の奏が穂乃香の元を離れてダイニングセットへと意識を切り替えてくれたので、ようやく穂乃香は安堵することができた。
ほどなくして、穂乃香が用意した鮭の塩麹焼きをメインにした、和風の朝食が並んだ食卓をいつものように囲んでるのだが、いつもならペロリと平らげるはずの奏の箸の進みが悪い。
――もしかして、口に合わなかったのかな? それとも今日は和風の気分じゃなかったとか?
成り行き上とはいえ同居し食事を共にしているのだ。
仕事でもプライベートでも、奏に仕える秘書としての役目を全うしなくては――。