フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜
幼少の頃より優れた経営者になるべく英才教育を受けてきた奏は、元々素質に恵まれていたのもあり、ビジネスにおいて実績も自信も兼ね備えている。
どんなに難しい商談もまとめてきた。
それなのに穂乃香のこととなるとからきしだ。
それでも穂乃香の気持ちを自分に何とかして振り向かせようと、難解な穂乃香の心を攻略するために必死に足掻いているのだ。
自身の体調になど気を配っているような余裕がなかったのも当然かもしれない。
「ああ、頼むよ」
穂乃香との新婚夫婦のようなやり取りに、この上ない幸福感を覚えつつ奏がいつものように朝食後のコーヒーをリビングのソファで堪能しようと足を踏み出したところ、不意に視界が暗転し目眩を覚える。
――何だ?
奏がそう思った時には、テーブルに片手をついた体勢で床に崩れ込んでしまっていた。
その刹那、奏が座していた椅子がガタンッという派手な音を立てた。その音で奏の異変を察したらしい穂乃香が慌てた様子で奏の元に駆け寄ってくる。
「社長っ⁉」
穂乃香のその声を耳にしたのを最後に奏は意識を手放してしまうのだった。