フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜
奏に心の内を見透かされそうな気がしたからだ。
――そんなわけないでしょ! 社長は熱に浮かされてさっきまで眠ってたんだから。ほら、しっかりしなさい。
動揺したもののどうにかこうにか気持ちを落ち着けた穂乃香は奏に、そっと窺ってみる。
「……社長、お身体の具合はどうですか?」
すると高熱を出したせいか倒れた際の記憶が曖昧のようで、奏は必死に記憶を遡ろうとしているようだ。
「ん? あっ、ああ……そうか。あの後倒れたんだな」
「社長、喉が渇いたでしょう。詳細はゆっくり説明しますので、とりあえずこちらを飲んでください」
――ほらね、エスパーじゃないんだから。看病に集中しなきゃ。
胸の内でようやくほっと安堵の息をついた穂乃香は奏の看病に集中するのだった。
奏が倒れてからこれまでの説明や業務連絡をしながら、奏に経口補水液を飲ませたり身体の汗を拭いたり着替えだったり、甲斐甲斐しく看病しているうち穂乃香はいつもの調子を取り戻すこともできていた。