フェチらぶ〜再会した紳士な俺様社長にビジ婚を強いられたはずが、世界一幸せな愛され妻になりました〜
奏が薬を服用している隙に、穂乃香がベッド脇のテーブルから空になった食器類を下げようとしていた時のことだ。
「穂乃香。看病してくれるのは有り難いが、そんなに何もかも急いですることはない。小うるさい柳本もいないんだし、俺も子どもじゃないんだ。自分のことくらいできる。この機会にゆっくり休んでおくといい」
病人である奏から思いがけず労いの言葉をかけられてしまった穂乃香は、自身を律するためにも即座に返答する。
「ありがとうございます。ですが、動いている方が性に合っているので、気になさらないでください」
思えば、奏と再会してからというもの奏が優しいのをいいことに、穂乃香は社長である奏に対して酷い態度ばかりとってきたように思う。
再会時のいきなりのプロポーズ発言から端を発し、もうすぐ離婚前提の契約婚まで強いられようとしているからなのだけれど。
自覚がなかっただけで、その裏には、穂乃香の香りを好きだという奏になら何を言っても許されるという奢りがあったのかもしれない。
ーー社長の気持ちに応えられないと言いながら、何て身勝手で打算的な女なのだろうか。
これ以上社長の優しさに甘えられるわけがない。