おともだち
「君に好意を寄せられた女性はそりゃあ驚くだろうけど、絶対に断らないだろ、」
「そうですか? 本当に? 」
「え、ああ。うん」
食い気味で確認してしまって辰巳主任はそう高くはない体をのけ反らせていた。
「それは、なぜ」
「えーっと、君が好きな女優さんなんかに告白された時の気持ちを想像してみたらどうだろう」
「なるほど? まぁ、全然リアリティが無いですね」
辰巳主任がちらり腕時計を見たことで、俺は正気を取り戻した。
「すみません。変なことを聞いて」
「いや、何か楽しかった」
辰巳主任はにこにこ笑っていた。くっ、と悔しい気持ちになる。
「辰巳主任、今度どうですか、一杯」
「……あ、ああ。うん。僕でいいなら」
「はい。では、お疲れ様です」
「お疲れ」
くるり、エレベーターの方へ体を向けるとそこに仁科さんが立っていて、今の会話を聞かれたことにばつが悪くなる。
「おはよう」
「おはよう」
仁科さんはひきつった笑顔で応えてくれた。
ああ、見られたくなかったな。昨日の今日で、さっそく仁科さんのいいなと思ってる人を調査に来たこと。それにさらに探りを入れようと彼を飲みに誘ったこと。
今度どうですか、一杯。なんて、今時おじさんでも言わないセンスのない誘い方をしてしまったこと。とにかく、散々だ。
辰巳主任は、一見ぱっとしないようで、鋭いし、話しやすいし、人を油断させてつい色々話してしまう。
あー、何か好きだって言われてわかるな。きわどいことを言ってもセクハラにならないタイプだ。何だろう、悔しい。どこがいいんだ?って思えないところ。
「そうですか? 本当に? 」
「え、ああ。うん」
食い気味で確認してしまって辰巳主任はそう高くはない体をのけ反らせていた。
「それは、なぜ」
「えーっと、君が好きな女優さんなんかに告白された時の気持ちを想像してみたらどうだろう」
「なるほど? まぁ、全然リアリティが無いですね」
辰巳主任がちらり腕時計を見たことで、俺は正気を取り戻した。
「すみません。変なことを聞いて」
「いや、何か楽しかった」
辰巳主任はにこにこ笑っていた。くっ、と悔しい気持ちになる。
「辰巳主任、今度どうですか、一杯」
「……あ、ああ。うん。僕でいいなら」
「はい。では、お疲れ様です」
「お疲れ」
くるり、エレベーターの方へ体を向けるとそこに仁科さんが立っていて、今の会話を聞かれたことにばつが悪くなる。
「おはよう」
「おはよう」
仁科さんはひきつった笑顔で応えてくれた。
ああ、見られたくなかったな。昨日の今日で、さっそく仁科さんのいいなと思ってる人を調査に来たこと。それにさらに探りを入れようと彼を飲みに誘ったこと。
今度どうですか、一杯。なんて、今時おじさんでも言わないセンスのない誘い方をしてしまったこと。とにかく、散々だ。
辰巳主任は、一見ぱっとしないようで、鋭いし、話しやすいし、人を油断させてつい色々話してしまう。
あー、何か好きだって言われてわかるな。きわどいことを言ってもセクハラにならないタイプだ。何だろう、悔しい。どこがいいんだ?って思えないところ。