おともだち

　仁科さんのペースで会ってるはずなんだけど、週1で会っている。これは俺に気を使ってるのだろうか、それが気にかかかっていた。だけど、そうじゃなかった場合……俺に会いたいという事だ。体目当てという可能性も捨てきれないが、性欲は強くないと言って……何考えてんだ。

　勝手に恥ずかしくなって咳ばらいをした。
　とにかく、俺と居る時間を“楽しい”と思わせて、またすぐに“会いたい”と言わせなきゃならなかった。

　3か月後――8月10日。

　その日の更新は関係性に変化が欲しい。もうすでに2週間以上経った。きっとあっという間で後悔はしたくない。

　俺の事を好きだって言わせたい。

　さて、どうするかな。
「それで、聞いていい？　恋人がいらない理由を少し掘り下げたい。今のところ、会社の飲み会での印象も含め二人で会ってても付き合うのに向いてないとは思えないんだけど」
「相手から見たらそうなのかも」
「ああ、自分がしんどいのか」
「そう。考え過ぎちゃって」
「考えすぎる。今は？　」
「今は大丈夫だよ」
「だな、気軽なセフレ、だもんな」

　言ってて悲しくなるが、安心させるためには仕方がない。

「例えば、その日はゆっくりしたかったのに誘ってくれたら悪いなって思って会うでしょ。もしくは日にち変えて会う、何度も断れないし、もちろん私にも会いたい日があって、でも前もって約束してないのに言っていいのかなとか色々、多分……」
「考えすぎ」
「そう。そうなんだよね。でも、相手が私の一挙一動で気持ちが上がったり下がったりするプレッシャーってすごくない？　」

　ふん、と思う。何だろう、わずかな違和感。相手が自分の行動をそこまで見ている（かもしれない）って結構な自信じゃないか？前の相手がそうだったってことか。
「相手の気持ちが重かったってこと？　」
「そんなことはないよ、ごく普通の人で普通の対等な交際」

　じゃあ、単に相手の事を考えすぎて自分の思ったことを言葉に出来ないタイプなのか、仁科さんは。