おともだち

「記念日も一緒に過ごすのは嫌って言ってたね。じゃあ、自分の誕生日もお祝いして欲しくないってこと？　」
「気持ちはとても嬉しいんだけど、人から祝われるのって苦手で……。特に、向こうが張り切ってくれるのが、プレッシャーなの」
「プレッシャー……」
　って全然わかんね、何でだ？
「あ、もしかして、プレゼントもらうのが気兼ねするとか？　」
　すごい高額な物を用意してくれる人だったとか？
「プレゼント。プレゼントはね、いつも欲しい物を前もって聞いてくれたり、リサーチしてくれたり、嬉しい。嬉しいんだけど、相手が差し出してくれる前の心持ちが苦手で。そうだ、相手が喜ぶ反応をしなくちゃっていう。私、リアクションがとても苦手で、皆が私を喜ばせようと注目すればするほど、喜ばなくちゃ、喜ばなくちゃってそればっかり気を取られちゃって、プレゼントのことは一人になってからやっと向き合えるというか……」

　相手が、みんなってどういう事だろう。

「それって、どんな状況？　恋人じゃなくて、みんな？　仲間内でお祝いしてくれる時の事言ってる？　」
「あ、そっか。恋人との話だったね。うん、恋人に対してもそうかな」
　何か引っかかることがあって、もう少し掘り下げることにした。

「いや、構わない。恋人の話じゃなくても。何で自分の誕生日をお祝いされたくないのか教えて」
「私の誕生日の思い出で、お祝いされるのが辛くなった一番最初の記憶を辿ると……小学校入るくらいだったかな。私ね、それぞれ年が2歳づつ離れている兄が三人いるんだけど、兄がそれぞれ私にプレゼントをくれるようになったころだと思う」
「へえ、お兄さんが……」

　いるとは聞いてたけど、3人も……。２歳づつ、頭の中で計算する。28歳、30歳、32歳、ってことか。何となく、交際を渋られた時に立ちはだかる壁が多いな……とゴクリ喉が鳴った。優しいお兄さんだったらいいな。