おともだち
 3人男の子が生まれた後の末っ子長女。比較対象が3人の男児だった私は大人しいとかご飯をあんまり食べないだとか、小さいだとか……とにかく些細なことで心配され過保護に育てられた。

 兄たちが風邪さえまともに引いたことがない丈夫なせいで、私は体が弱いと思われていたし、私もずっと自分は体が弱いのだと思っていた。が、自分で比較できるようになって気が付いた。比較対象を友人――一般的に考えると私はごく普通だった。むしろ、“ほとんど風邪をひかない”部類だった。

 弱くもなけりゃ、小さくもなく、女子にしたらよく食べる方で、女子にしたら活発な子だった。

 つまり、兄が3人いること以外はごく普通の健康的な女子。それを自覚したものの、親や兄たちに伝えても何の変化も見られなかった。過保護なまま。それはもう性分なんだろう。そしてそれを受けるのは私の宿命なのだろう。

 度が過ぎているわけではないしと、ある程度受け入れていたが、制限がしんどく感じ始めた。出かけるにしても誰とどこへ、今は誰と仲がいいのか、兄たちはただ聞いただけなのだろうが、詮索されている気分になる。黙って出かけるのも、過ぎたところで事前に連絡さえ入れれば怒られたりしない門限も、必ず誰かが駅まで迎えに来てくれることに、私が勝手に罪悪感を感じ窮屈になってきた。

 愛が重い。

「はは、多江んちほーんと家族仲いいもんね。いいじゃん、優しいお兄ちゃんたち、羨ましいよ。うちのお兄ちゃんなんて、私が出かけたらラッキーって思ってるよ」
 昔からの幼馴染、奈子に相談すると相変わらずね、あんたんち。と前置きした後でこう言って笑った。

 そうだよなぁ、でも年々しんどくなってくる。特に、初めて彼氏が出来た時からだ。必死に隠し通したけど、いや、隠さなきゃならないわけでもないんだけど、言い辛くて言わなかった。
 
< 5 / 40 >

この作品をシェア

pagetop