おともだち
躊躇していたら
「手」と急かされ、慌てて右手を彼の左手に合わせた。
「うん」
宮沢くんはまるでそうするのが当たり前みたいに、指を絡ませてつないだ手を歩くリズムに揺らしながら歩き始めた。
すごく、デートっぽい。いや、これって、立派なデートじゃないか。気持ちが高揚する。動物園に来たわくわくにドキドキも加わる。
宮沢くん、告白してくれたってことは私の事を好きなんだろうか。それとも、“セフレ”を受け入れた時に気持ちに区切りをつけたのかな。どうして手をつなぐんだろう。今、どんな気持ちで私といるのだろう。
セフレを引き受けてくれたのは何で……?
どういう心境なんだろう。
「サルだ。あいつがボスかな。違うか、おっぱいあるから女子だな。いや、オスもおっぱいあるか。いや、ボスってオスとは限らないのかな」
疑問をそのまま口にする幼さに吹きだす。
「……宮沢くん、何言ってんの? 」
「だってあれ一番上にいるサル、メスだよな? あれおっぱいであってる? 」
「若い男の子が何の躊躇もなく『おっぱい』っていうの、どうかと思うよ」
「あ、ごめん……」
宮沢くんは何回も連呼したくせに今更、恥ずかしそうに顔を赤くした。
「意外……」
「何が」
「そんな顔するんだね」
「そんなって、どんな……。チッ」
宮沢くんはつないでない方の手で私の視界を遮り、その可愛い顔を隠してしまった。ああ、残念。無理に避けるとそっぽを向いてずんずん歩き出した。私の右手も道ずれに歩くから私も急ぐ羽目になって、サル山を一周してしまう。
「ねえ、どうして引き受けてくれたの」
「何を? 俺が引き受けたって? 」
「セフレ」
宮沢くんは慌ててまわりを見回した。
「ちょ、聞こえたらどうすんだよ。この爽やかな空間に似合わな……親子連れ多いんだからな! 」
「ごめ、ごめん。そうだね」
少し、考えてから宮沢くんはいたずらに微笑んだ。
……それから……
「さあ」
とだけ言った。
「手」と急かされ、慌てて右手を彼の左手に合わせた。
「うん」
宮沢くんはまるでそうするのが当たり前みたいに、指を絡ませてつないだ手を歩くリズムに揺らしながら歩き始めた。
すごく、デートっぽい。いや、これって、立派なデートじゃないか。気持ちが高揚する。動物園に来たわくわくにドキドキも加わる。
宮沢くん、告白してくれたってことは私の事を好きなんだろうか。それとも、“セフレ”を受け入れた時に気持ちに区切りをつけたのかな。どうして手をつなぐんだろう。今、どんな気持ちで私といるのだろう。
セフレを引き受けてくれたのは何で……?
どういう心境なんだろう。
「サルだ。あいつがボスかな。違うか、おっぱいあるから女子だな。いや、オスもおっぱいあるか。いや、ボスってオスとは限らないのかな」
疑問をそのまま口にする幼さに吹きだす。
「……宮沢くん、何言ってんの? 」
「だってあれ一番上にいるサル、メスだよな? あれおっぱいであってる? 」
「若い男の子が何の躊躇もなく『おっぱい』っていうの、どうかと思うよ」
「あ、ごめん……」
宮沢くんは何回も連呼したくせに今更、恥ずかしそうに顔を赤くした。
「意外……」
「何が」
「そんな顔するんだね」
「そんなって、どんな……。チッ」
宮沢くんはつないでない方の手で私の視界を遮り、その可愛い顔を隠してしまった。ああ、残念。無理に避けるとそっぽを向いてずんずん歩き出した。私の右手も道ずれに歩くから私も急ぐ羽目になって、サル山を一周してしまう。
「ねえ、どうして引き受けてくれたの」
「何を? 俺が引き受けたって? 」
「セフレ」
宮沢くんは慌ててまわりを見回した。
「ちょ、聞こえたらどうすんだよ。この爽やかな空間に似合わな……親子連れ多いんだからな! 」
「ごめ、ごめん。そうだね」
少し、考えてから宮沢くんはいたずらに微笑んだ。
……それから……
「さあ」
とだけ言った。