おともだち
――昼休み。
つい、誰にも会いませんようにと願う。
だけど、一斉に昼休憩に入る時間帯に誰にも会わないのは無理がある。人気が少ないからと選んだ階段でさえ数人に会うことになった。せめて、一緒に昼食をとるほどの人ではなかったらよかったけど、そうもいかなさそうだった。
「あら、お二人も階段? 」
女性二人組。企画部の三上さんと小柴さんだ。時々話すような二人とあれば、昼食も一緒コースになりそうだ。
「そうなんです。ちょっと運動って思って」
「はは。本当にちょっと、の階数ですね。私たちはエレベーター混んでるから昼はいっつも階段」
ね、と三上さんが小柴さんにねー?と同意を求めて、小柴さんが頷いた。
「なるほど」
「宮沢さんも行くんですか? 」
「うん、そのつもり」
「じゃあ、私たちもそっち行こう。いいですか? 」
栄司が頷くと、小柴さんは先輩である三上さんに視線を向けつつそう聞いてきた。聞かれたからには断れない。
「もちろんです」
私は心とは裏腹に快く頷いた。……がっかりしたけど、しょうがない。栄司とは約束したら会えるんだから。
小柴さんが栄司に並んで歩き、もう片方の女性、三上さんと私が並んで歩くことになった。何となく4人で話す感じで、道幅によっては二人に別れて、向こうの会話が聞こえない。かなり気さくに話していて、栄司はイメージと違うタイプの人だってもうみんな気づくんじゃないだろうか。そう思うと胸がチクンと痛み、心がもやもやとしてくる。
「定食でいいですか」
店を指さし、栄司の横の小柴さんが振り向いたことでハッと正気を取り戻した。
店に入る時、二人を押しのけて栄司の横に座りたい衝動に駆られた。ああ、なにこれ。私にそんな権利ないのに。
つい、誰にも会いませんようにと願う。
だけど、一斉に昼休憩に入る時間帯に誰にも会わないのは無理がある。人気が少ないからと選んだ階段でさえ数人に会うことになった。せめて、一緒に昼食をとるほどの人ではなかったらよかったけど、そうもいかなさそうだった。
「あら、お二人も階段? 」
女性二人組。企画部の三上さんと小柴さんだ。時々話すような二人とあれば、昼食も一緒コースになりそうだ。
「そうなんです。ちょっと運動って思って」
「はは。本当にちょっと、の階数ですね。私たちはエレベーター混んでるから昼はいっつも階段」
ね、と三上さんが小柴さんにねー?と同意を求めて、小柴さんが頷いた。
「なるほど」
「宮沢さんも行くんですか? 」
「うん、そのつもり」
「じゃあ、私たちもそっち行こう。いいですか? 」
栄司が頷くと、小柴さんは先輩である三上さんに視線を向けつつそう聞いてきた。聞かれたからには断れない。
「もちろんです」
私は心とは裏腹に快く頷いた。……がっかりしたけど、しょうがない。栄司とは約束したら会えるんだから。
小柴さんが栄司に並んで歩き、もう片方の女性、三上さんと私が並んで歩くことになった。何となく4人で話す感じで、道幅によっては二人に別れて、向こうの会話が聞こえない。かなり気さくに話していて、栄司はイメージと違うタイプの人だってもうみんな気づくんじゃないだろうか。そう思うと胸がチクンと痛み、心がもやもやとしてくる。
「定食でいいですか」
店を指さし、栄司の横の小柴さんが振り向いたことでハッと正気を取り戻した。
店に入る時、二人を押しのけて栄司の横に座りたい衝動に駆られた。ああ、なにこれ。私にそんな権利ないのに。