おともだち
4人席に案内されると私は栄司の向かい席になった。
他の女性と並ぶ栄司を見ることになる。たまたまお昼が一緒になった職場の同僚なのはわかっている。それでも、想像するにはぴったりのシチュエーションだった。
……もし、栄司に特別な人が出来たら。
話しかけられた栄司が彼女を見て笑う。背の低い彼女が栄司を見上げる形になり、聞こえにくかったのか栄司がわずかに顔を寄せる。
私と栄司はセフレで、いつ終わってもいい関係だ。私がそう望んだ。今私がいる場所はいつでも取って代わられる。誰かとは私以上の親密な関係を誰か築くかもしれなくて。栄司はセフレとかじゃなく、ちゃんとした付き合いを望む人なんだから……。
「……さん。仁科さん、決まりました? 」
「あ。ごめんなさい。ぼーっとして」
気づけば店員さんがオーダーを取りに来ていて焦る。
「仁科さん、今日の日替わりこの前美味しいって言ってた西京焼きだよ。小鉢ついてるやつ」
「じゃあ、それにします」
栄司が助け舟を出してくれて何とかなった。私の好みも把握してくれていて嬉しかった。
「あれ、宮沢さんと仁科さんてよく一緒にランチ来るんだ。接点ありましたっけ」
栄司の横からするどい質問が来てすでにテンパっていた私は言葉に詰まった。
「まぁ、時間が合えば時々ランチしたりもするよね。同い年なんだ、俺たち」
栄司がカラリとした笑顔でそつなく対応してくれた。ホッとした私の目の前で、質問した彼女もホッとしたのがわかった。……わかってしまった。私が栄司を好きだからこそ見えてしまうものもある。
――この子、栄司のこと好きなんじゃないかな……って。
私は大好きな西京焼きの味がよくわからなくなってしまった。4人で話しながらも身体を栄司に傾ける彼女の仕草はかわいらしく、その好意は私に比べると随分純粋な気がした。
他の女性と並ぶ栄司を見ることになる。たまたまお昼が一緒になった職場の同僚なのはわかっている。それでも、想像するにはぴったりのシチュエーションだった。
……もし、栄司に特別な人が出来たら。
話しかけられた栄司が彼女を見て笑う。背の低い彼女が栄司を見上げる形になり、聞こえにくかったのか栄司がわずかに顔を寄せる。
私と栄司はセフレで、いつ終わってもいい関係だ。私がそう望んだ。今私がいる場所はいつでも取って代わられる。誰かとは私以上の親密な関係を誰か築くかもしれなくて。栄司はセフレとかじゃなく、ちゃんとした付き合いを望む人なんだから……。
「……さん。仁科さん、決まりました? 」
「あ。ごめんなさい。ぼーっとして」
気づけば店員さんがオーダーを取りに来ていて焦る。
「仁科さん、今日の日替わりこの前美味しいって言ってた西京焼きだよ。小鉢ついてるやつ」
「じゃあ、それにします」
栄司が助け舟を出してくれて何とかなった。私の好みも把握してくれていて嬉しかった。
「あれ、宮沢さんと仁科さんてよく一緒にランチ来るんだ。接点ありましたっけ」
栄司の横からするどい質問が来てすでにテンパっていた私は言葉に詰まった。
「まぁ、時間が合えば時々ランチしたりもするよね。同い年なんだ、俺たち」
栄司がカラリとした笑顔でそつなく対応してくれた。ホッとした私の目の前で、質問した彼女もホッとしたのがわかった。……わかってしまった。私が栄司を好きだからこそ見えてしまうものもある。
――この子、栄司のこと好きなんじゃないかな……って。
私は大好きな西京焼きの味がよくわからなくなってしまった。4人で話しながらも身体を栄司に傾ける彼女の仕草はかわいらしく、その好意は私に比べると随分純粋な気がした。