桜いろの恋
外に出れば藍色の空から涙のように雪が舞い降りて私の吐息に吸い込まれるようにして消えていく。
「美夜、おいで」
尚樹は私が手に持っていた真っ白いマフラーを私の首に巻き付けながら、ふっと笑った。
「どしたの?」
「やっぱ、美夜には白が似合うなって」
「え?」
去年一緒にクリスマスは過ごせないからと尚樹がプレゼントしてくれたカシミヤのマフラーだ。その時にどうして白のマフラーを選んでくれたのか聞いたが、尚樹は恥ずかしがって最後まで教えてくれなかった。
「なんで、私には白なの?」
「美夜は色が白いし……ほんと……心まで真っ白だから……その色にした」
尚樹らしくないその言葉に心臓はドキンとしてすぐにひんやりする。そして尚樹が私をぎゅっと抱きしめた。尚樹の鼓動が互いの吐息に混ざり合いながら重なる。
「尚樹……どうしたの?」
「ちょっとだけこうさせて」
尚樹はしばらく黙ったまま、ずっと私をただ抱きしめていた。
どのくらいそうしてただろうか。ふいに震えたスマホが尚樹のスラックスのポケットからだと気づいた私は、そっと体を離した。
「尚樹……そろそろ……帰らないと……」
「うん」
尚樹はスマホを確認することなく私の手を引くと車の停めてある駐車場まで真っ直ぐに歩いていく。
ふわふわ舞う雪の中、ふたつ並んでついた雪の足跡を振り返りながら私は尚樹の掌をぎゅっと握りしめた。
「美夜、おいで」
尚樹は私が手に持っていた真っ白いマフラーを私の首に巻き付けながら、ふっと笑った。
「どしたの?」
「やっぱ、美夜には白が似合うなって」
「え?」
去年一緒にクリスマスは過ごせないからと尚樹がプレゼントしてくれたカシミヤのマフラーだ。その時にどうして白のマフラーを選んでくれたのか聞いたが、尚樹は恥ずかしがって最後まで教えてくれなかった。
「なんで、私には白なの?」
「美夜は色が白いし……ほんと……心まで真っ白だから……その色にした」
尚樹らしくないその言葉に心臓はドキンとしてすぐにひんやりする。そして尚樹が私をぎゅっと抱きしめた。尚樹の鼓動が互いの吐息に混ざり合いながら重なる。
「尚樹……どうしたの?」
「ちょっとだけこうさせて」
尚樹はしばらく黙ったまま、ずっと私をただ抱きしめていた。
どのくらいそうしてただろうか。ふいに震えたスマホが尚樹のスラックスのポケットからだと気づいた私は、そっと体を離した。
「尚樹……そろそろ……帰らないと……」
「うん」
尚樹はスマホを確認することなく私の手を引くと車の停めてある駐車場まで真っ直ぐに歩いていく。
ふわふわ舞う雪の中、ふたつ並んでついた雪の足跡を振り返りながら私は尚樹の掌をぎゅっと握りしめた。