チカ先輩のお気に入り。
チカ先輩との距離が近くで、目が合わせられない。
こんなにも男の人と距離が近くなることなんてないよ。
「は、恥ずかしいから……!」
「恥ずかしいの?なんで?」
「…っ、だって」
「うん?」
ムカつく。本当にムカつく。
なんで、こんなにドキドキうるさいの。よく知らない先輩相手に、何意識しちゃってんの。
なかなか上手く話せずにいる私の腰を、グイッと引き寄せてきたチカ先輩。
またグッと距離が縮み、抱きしめられてしまった。
「ちょ……っ先輩!」
「雪桜ちゃんって、温かいね。ワンちゃんだ」
「また犬……!?」
先輩の匂いが香ってドキドキして酔いそうだった。
のに、ワンちゃんと言われてそんなのも吹き飛び酔いが覚める。
またワンちゃん……!?
抱きしめられる形になっていた先輩から勢いよく離れ、さっきの向かい合う体勢に戻る。