チカ先輩のお気に入り。



チカ先輩との距離が近くで、目が合わせられない。
こんなにも男の人と距離が近くなることなんてないよ。


「は、恥ずかしいから……!」

「恥ずかしいの?なんで?」

「…っ、だって」

「うん?」


ムカつく。本当にムカつく。
なんで、こんなにドキドキうるさいの。よく知らない先輩相手に、何意識しちゃってんの。

なかなか上手く話せずにいる私の腰を、グイッと引き寄せてきたチカ先輩。
またグッと距離が縮み、抱きしめられてしまった。


「ちょ……っ先輩!」

「雪桜ちゃんって、温かいね。ワンちゃんだ」

「また犬……!?」


先輩の匂いが香ってドキドキして酔いそうだった。
のに、ワンちゃんと言われてそんなのも吹き飛び酔いが覚める。
またワンちゃん……!?

抱きしめられる形になっていた先輩から勢いよく離れ、さっきの向かい合う体勢に戻る。



< 24 / 303 >

この作品をシェア

pagetop