チカ先輩のお気に入り。



「なんなんですか……!犬扱いって……!」

「可愛いじゃん、ワンちゃん」

「そうですけど、嬉しくないです!」

「俺が飼い主ね」

「人の話を聞いてください……!」


私の飼い主とかどうでもいいから!
確かに、大人な先輩に比べたら私は犬かもしれないですけど……!


「ねえ雪桜ちゃん」

「なんですか……」

「俺が飼い主だから、雪桜ちゃんは俺の言うことを聞かなきゃいけないんだよ?」

「はい……?」


嫌に決まってますけど?
何言ってるんですか。私、別にあなたの飼い犬になった覚えはありませんが。
そもそも犬ではありません。

すると、チカ先輩の手が伸びてきて、目線が合うように私の顎をクイッと持ち上げた。

な、なに……っ!


「飼い主に噛み付いちゃダメでしょ?

─────俺の可愛いワンちゃん」

「……っ」


余裕たっぷりの笑顔で、そう私に言ったチカ先輩。
嫌なはずなのに、かああっと身体の体温が上がって、何も言えなくなってしまう。


「これからよろしくね、雪桜ちゃん」


こ、この、性悪王子……っ!!



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