偶然?必然?運命です!
ゴトゴトッ。


離れている机を岸井くんの机にくっつける。


「おい?」


「教科書、見せて下さい」


「……ああ」


岸井くんは怒りを収め、席に着くと教科書を出す。


あたしも席について、ノートやらの準備。


教科書以外は無事だった。


時間がなかったのか。


まぁ、良かった。



教科書全滅は、また買い直しでどれだけお金がかるかか。



でも……



クックックッ。



岸井くんと私を引き離そうとしたんだろうけど、逆効果だったね。


お生憎様、これを気にもっと岸井くんと仲良くなってやるわっ。


フハハハハハッ!!


納谷さんを見るとギリギリと音が聞こえてきそうな程唇を噛みしめてる。


悔しい?


けれど、こんな卑怯な手で今までずっと岸井くんから友達を取り上げていたなんて。


”俺には近付かない方がいいぜ“


そう言っていた岸井くんの表情を見たことがあるのだろうか。


私なら、大好きな人にあんな顔はさせない。


笑っていてほしい。


だからアナタが何をしようが負けないから。


岸井くんに見えないように、あっかんべーを納谷さんにしたところでチャイムが鳴った。


「お……お前」

「うん?」


驚愕の表情と声の岸井くん。


何事?


「これ……なんだ?」


「え?」


ノートの表紙を指す。


そこには暇なあまり、書いた落書きが。



「リンゴの妖精」


「!?」


「え?何、へ……」



変!?って聞こうとしたら



「アッハッハッハッ!!」



豪快に笑われる。



さすがにこれにはクラスメイト皆がビックリし、岸井くんを見る。



「下手すぎんだろっ!!てか、なんでリンゴの妖精!?」



おおおおお……。


これは怒っていいのか、喜ぶべきなのか……って



「下手!?」


ビックリする私を見て、また笑い出す岸井くん。


先生が来てもなかなか笑い止まず、保健室に行くか?なんて心配までされていた。
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