偶然?必然?運命です!
それは、本当にすぐにやってきた。



お昼ご飯を食べ終わって教室に戻り、次の授業の用意をしてると



「次は寝るなよ?」


「それは……多分無理」



お腹がいっぱいだからねー、なんて岸井くんと話しながら机に手を入れ……



取り出した物理の教科書が無惨に切り裂かれていた。



おおお……。



「オイ、どうし……」



「「……」」



勢いよく机の上に出しちゃったものだから、岸井くんに見られてしまう。



「それ……」



昼食を岸井くんと一緒にしたのがそんなに気に食わなかったのか。



納谷さんを見ると、机に肘をついてぼんやりと外を見ていた。


けれど……



私が見ているのに気付いたのか、こっちを見て勝ち誇ったように微笑んだ。



ほーぅ?


やっぱりアナタな



「誰の仕業だよ」



お?



静かに、でも怒りを含んだ声で岸井くんが言う。



教室が一瞬で静かになる。



「誰がやったんだよ!?」



バァーーンッ!!



ボロボロの教科書を手に取ったかと思えば、机に叩きつけた。



教科書ーーっ!!



ただでさえ罪のない教科書が更に酷い目にっ。



これは予想外だったのか、納谷さんもビックリして岸井くんを見てる。



ギロリと辺りを見渡す岸井くんに、皆が違う違うと両手を横に振って否定する。



私のために怒ってくれてる。



嬉しさにニヤけそうになるのをなんとか堪え



「何笑ってんだよ」



バレた。



「岸井くんが怒ってくれてるのが嬉しくて」



素直に言うと



「バッ」



なんとも言えない表情をする岸井くん。



フフ。



「私は大丈夫だから」



納谷さんを見て言い、岸井くんに笑いかけた。



言ったでしょ?



踏まれても踏まれても生えてくる雑草のような心だって。
< 40 / 69 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop