偶然?必然?運命です!
と思っていたら岸井くんはピタッと笑うのを止めた。


「??」


「俺も……」


「俺も?」



岸井くんが少しだけ私から距離を取る。



ガンッ!!


えっ!?なんで!?


笑ってくれたけど実は退かれてた!?


“コイツ人の匂いを嗅ぐのが趣味なのかよ?”的な!?



そんな……



「俺も臭いか……?」


「へ……?」



誰が臭いって?



「「……」」



視線が逸らされる。



岸井くん!?


岸井くんが臭いかって!?



ぬぁーっ!!



さっきよりも激しく首を横に振る。



「だからお前、首が取れるぞ」



ワシッと頭を掴まれ、止められる。



キャーッ!!


って喜んでいる場合じゃなかった!!



「岸井くんは臭くなんてないよ!!むしろ良い匂い!!石鹸みたいな清潔な匂い!!」



大好きって言いそうになって慌てて口を閉じる。


危なっ危ない。


まだ告白は早いわよ、玖遠!!



「そうか」



ホッとし、息を吐く岸井くん。



頭から手が離される。



ああー……。



まだ掴んでくれてて良いのに。



手が離れていくのを寂しい気持ちで見送っていたら



「安心しろ、お前も臭くない。なんか花の匂いがする」



「うぇっ!?」



岸井くんの顔が近付いてきて……



スンッと首の辺りを嗅がれる。



ギャーーッ!!



きょっ距離が近いんだが!?



至近距離で目が合う。



「「……」」



「おわっ!?悪いっ」



「いやいや全然っ」



「「……」」



かっ、会話が……



「じ……じゃあ、俺こっちだから」



「う……うん!!また明日!!」



ギクシャクしつつ分かれ道で別れた。



キャーッ!!



「あっ!!」


「??」


「犬には気をつけろよ!!」


「……フフッ。はーい!!」




気をつけろ、だって


ぐふっぐふふふふふふっ!!


もうこれは付き合っているといっても過言ではないのでは!?


誰にもツッコまれることなく家へと帰った。
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