偶然?必然?運命です!
第三章
「父と母の様子がおかしい?」


「あー」



ベッドに座らせた璃遠が頷く。



さっきのリビングでの話し。



服も着替え終わって璃遠の隣に座る。



父と母の様子がおかしいって……



「いつものことじゃない?」



そう言うと



「むーっ」



怒った璃遠に、もいもいと紅葉のような手で太ももをパンチされる。



痛くはない。


むしろマッサージみたいで気持ちが良



「むーっ!!」


「ごめんて」



更に怒る璃遠を抱き上げ膝に乗せる。


私からしたらあの両親はいつもおかしいけれど、どうやらいつも以上におかしいらしい。


でも何がどうおかしいのか……


「あー」


「私の誕生日?16歳?」



聞いたセリフを言っていく璃遠。


けれどなんの憶えもない。



「あっ、あぅあぅあっ」


「昨日のこと?昨日のことが何か関係があると?」


「うっ」


「昨日っていうと……岸井くん!?」



岸井くんが


もいっ!!


違う、とほっぺをパンチされる。



「すみません」



本気だ。


璃遠は本気で話してるんだ。


ならば私も本気にならないと。


昨日……



「野犬しか思い浮かばないんだけど……」


「うー」



璃遠もそうだ、と。


突然襲ってきた野犬。


それが私の16歳の誕生日と関係がある……と。


全くわからん。



「うーっ」


「うん、わかった。気をつける。心配してくれてありがとうね、璃遠」



凄く真剣な表情で“気をつけて”と言う璃遠に、私はしっかりと頷いて璃遠の頭を撫でる。


でもそうだ。


私、もうすぐ誕生日だ!!


……岸井くん、言ったら一緒に祝ってくれるかな!?


とっ、友達だし!!


よし、明日話してみよう!!



岸井くんのことで不安が吹き飛んだ私は、璃遠が心配そうに私を見ていることに気付けないでいた……。



「……」
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