偶然?必然?運命です!
夢を見る



ずっと昔から、それこそ物心付いた頃から同じ夢を。



神聖な美しい森ー。


私はいつもその前に立っている。



“帰りたい”


何故かそう想いながら。



でも森は私を拒み続ける。


ずっと。



入ることを許されないから立っているだけ、見ているだけ。


それを何十年と見続けてきた。



そして今日、またその夢を見るー



『ここはずっと変わらないのね』



変わったのは私の背だけ……



『って、ん?』



え?



何?



どうして?



『動ける……』



足が動く。



今まではずっと動けなかったのに。



ただ、美しい森を見せられるだけだったのに。



なんの拷問かと思っていたのに。



一歩、また一歩と森へ近づく。



心臓が高鳴る。



入れるの?



ずっと入りたかった。



憧れていた。



ああっでもっ。



こんな綺麗な森に一人で入るなんてもったいない。



岸井くんとっ



岸井くんと一緒に入りたいっ。



森の中を散策したいっ。



でっ、できれば手なんか繋いじゃってっ。



キャーーーッ!!



ベタンッ!!



『のっ!?』



何かにブチあたった。



森に入る寸前。



まるで透明な壁に阻止されたかのように弾かれた。



『嘘でしょ?』



よろけ2歩ほど下がった私は森に向かって手を伸ばす。



何もない。



何も見えないのに、その手は確かに何かに触れた。



結界?



ふと出た言葉。



この森は特別、目に見えない結界で護られていると?



結局……










入れんのんかいっ!!


と、叫んだところで目が覚めた。
< 49 / 60 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop