叱られた冷淡御曹司は甘々御曹司へと成長する

 そうだったの……ということは、条件があると前言っていたのは……。

 「総帥を継ぐ前に、結婚していて欲しかった。だからあの人は待っていたの。でももうそろそろ限界だわ。玖生もいい年だしね」

 「大奥様」

 「実はね。主人は前々からアメリカで一緒に仕事をした玖生の学生時代の知り合いのお嬢さんとの結婚を勧めようとしていたの。彼女とは知り合いということもあって、玖生は打ち解けていたし、彼女が玖生を好きらしいの。彼女の父親はアメリカの企業の社長を務めていて、清家財閥の重要なパートナーでもあるわ」

 私は前を見られず、下を向いて手を白くなるほど握りしめた。

 「それとね、玖生は総帥の仕事の引継ぎでアメリカへ二週間後には発ちます。おそらく一ヶ月程度行くことになると思うわ」

 「……そうですか」

 私は玖生さんの縁談の話が衝撃となって何も考えられなくなった。
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