叱られた冷淡御曹司は甘々御曹司へと成長する
「玖生君……やはり日本に想い人がいるという噂は本当のようだな」
玖生は驚いて顔を上げた。
「いや、縁談のはなしは聞いているだろうに、君は何も言わない。わかってはいたが、その気がないんだな。まあ、その気があればとっくにどうにかなっていただろう」
「杉原さん……すみません」
玖生は立ち上がると丁寧に頭を下げた。杉原は驚いて立ち上がり、座るよう促した。
「玖生君。お相手の女性についてこちらも少し情報を得ている。大奥様の知り合いで、当初結婚相手として考えていたわけではないと聞いているが、違うかね?」
「確かにそうです。私はご存じのように結婚どころか女性とお付き合いすることを拒んでましたので、友人ならどうだろうという話だったのです。俺にとっては正直どれも大差なかったのです」
「失礼を承知で話すと、その人は財閥に何の関係もなかった女性。しかも君の仕事を支えるのは難しそうだ」