叱られた冷淡御曹司は甘々御曹司へと成長する

 「……祖父から聞いておられるのですか?」

 杉原はうなずいた。

 「娘はこの仕事についてよく理解してきているし、君の力になれる程度には成長している。私も君が息子になるなら嬉しい。幸いにも総帥はうちの娘を孫同然に可愛がって下さっている。それもあって、おそらく君に亜紀を後押しして下さっているはずだ。条件なら悪くないはずだとね」

 「杉原さん。亜紀さんは優秀ですし、縁談なら他にも……」

 「玖生君。あの子がここまで粘っているのは何故だと思う?君に特定の女性の影がなかったこと。結婚していないこと。そして、女性を拒絶しきれていないことを知っているからだよ」

 俺が特定の女性と付き合っていなかったが、関係を持った女性がいたことを暗に言っているのだとわかった。こんなことまで口にするとは、やはりよほど娘と一緒にさせたいんだとわかった。

 「君の総帥継承に結婚問題も関係しているのは、君のおじいさまやお父上からも耳にしていた。おばあさまがその女性を友人にと勧めたのも君の意識を変えさせるためだろう」
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