愚痴
「赤ちゃん出来ちゃったから……」
そう淡々と言った環奈の表情は、言葉とは裏腹で幸せそうに見えた。
「体調悪かったのは、そのせいだったみたい。赤ちゃん出来たこと話したら、純ちゃんすごく喜んでくれて、そのままうちの親に挨拶行ってくれたの」
「そっか」
次の言葉が浮かばない。
「それでね、純ちゃんがひとつ約束してくれたの」
「何?」
「……禁酒」
「……」
環奈はやはり、素直な女だ。
結局環奈は、どうにもならないことをくどくどと嘆いていただけで、きっと望んでいたのはこの結末だったのだろう、と気付いた時、基樹の口から自然とこぼれた。
「幸せになれよ」
「うん。ありがとう」
環奈が最後にこぼしたのは、愚痴ではなく幸せそうな笑顔だった。
【完】
そう淡々と言った環奈の表情は、言葉とは裏腹で幸せそうに見えた。
「体調悪かったのは、そのせいだったみたい。赤ちゃん出来たこと話したら、純ちゃんすごく喜んでくれて、そのままうちの親に挨拶行ってくれたの」
「そっか」
次の言葉が浮かばない。
「それでね、純ちゃんがひとつ約束してくれたの」
「何?」
「……禁酒」
「……」
環奈はやはり、素直な女だ。
結局環奈は、どうにもならないことをくどくどと嘆いていただけで、きっと望んでいたのはこの結末だったのだろう、と気付いた時、基樹の口から自然とこぼれた。
「幸せになれよ」
「うん。ありがとう」
環奈が最後にこぼしたのは、愚痴ではなく幸せそうな笑顔だった。
【完】


