愚痴
その後二人はめでたく志望校に合格し、今度は仲良く自転車通学することになった。
そんな二人を見て、クラスメイトは恋人同士と勘違いしていたようだが、基樹は別にそれで構わなかったし、逆にそんな噂が広まれば環奈に男が言い寄らなくて丁度いい、とさえ思っていた。
入学当初は大人しくしていた環奈も本領を発揮し、やはり人気者となった。そして、またあの日が訪れた。
「二組の山田君に付き合おうって言われた」
「へえ……」
「どう思う?」
「俺、そいつ知らねえ……」
「……そっか」
結局、環奈は山田という男と付き合うことになった。
環奈が自分に決断を委ねなくなったのは、その頃からだろうか。交友関係が広がり、互いにバイトも始めて、環奈の行動を把握しきれなくなっていた。そして少しずつ会わなくなると思っていたのだが、度々電話で呼び出されては、環奈に愚痴を聞かされていた。
――早く別れろ。
いつもそんな気持ちでいる自分に嫌気がさし、基樹は何度か彼女を作った。当然そんな気持ちで付き合っても長続きはしなかったが、その度に、何となく焼きもちをやくような環奈の態度を見て、基樹の気持ちは満たされた。
同じ高校に入ったばっかりに、知りたくないことまで知る羽目になり、やきもきする日々が続いた。
そんな二人を見て、クラスメイトは恋人同士と勘違いしていたようだが、基樹は別にそれで構わなかったし、逆にそんな噂が広まれば環奈に男が言い寄らなくて丁度いい、とさえ思っていた。
入学当初は大人しくしていた環奈も本領を発揮し、やはり人気者となった。そして、またあの日が訪れた。
「二組の山田君に付き合おうって言われた」
「へえ……」
「どう思う?」
「俺、そいつ知らねえ……」
「……そっか」
結局、環奈は山田という男と付き合うことになった。
環奈が自分に決断を委ねなくなったのは、その頃からだろうか。交友関係が広がり、互いにバイトも始めて、環奈の行動を把握しきれなくなっていた。そして少しずつ会わなくなると思っていたのだが、度々電話で呼び出されては、環奈に愚痴を聞かされていた。
――早く別れろ。
いつもそんな気持ちでいる自分に嫌気がさし、基樹は何度か彼女を作った。当然そんな気持ちで付き合っても長続きはしなかったが、その度に、何となく焼きもちをやくような環奈の態度を見て、基樹の気持ちは満たされた。
同じ高校に入ったばっかりに、知りたくないことまで知る羽目になり、やきもきする日々が続いた。