結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
ちょっと厳しい顔になり、矢崎くんが座っているベンチの隣をバンバンと叩く。

「えっと……」

「座れって言ってんの」

「あっ」

強引に手を引っ張られ、渋々ながらもそこに腰を下ろした。

「働きすぎ。
少し休憩しろ」

「でも、そんな余裕、全然ないし」

今のところ上手く回っているが、いつ何時なにが起こるかわからない。
それにスタッフからもなにかと尋ねられていた。

「わかるけど。
でも、それで純華が倒れたら、困るだろ」

「うっ」

もっともすぎてなにも返せない。
指揮官の私が倒れれば、現場は混乱するだろう。

「スタッフにだけ声かけて、自分はちゃんと水分、摂ってるのか?」

「うっ」

言われればマンションを出てから、なにも口にしていなかった。

「そんなことだろうと思った」

矢崎くんは呆れるようにため息を落とし、休憩ブースの隅に置いてある冷蔵庫からスポーツドリンクを一本、掴んできてまた私の隣に座った。

「しっかり水分摂って、少しでもいいから休め」

「……そうする」

受け取ったスポーツドリンクに口をつける。
意識はしてなかったが身体は乾いていたみたいで、あっという間に一本が空になった。

「……ありがと、気遣ってくれて」

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