結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
リビングの明かりがつくと、ケージに前足をついて立ち上がり、イブキが盛んに尻尾を振り出した。

「はいはい、ごめんねー」

ケージを開けると同時にじゃれてくる。
その頭を満足するまで撫でてあげた。
そのあいだに矢崎くんがリビングを出ていく。

「すぐに着替えてごはんの準備、するね」

「え、いいよ。
今日は俺がやる」

着替えて戻ってきた彼は軽くイブキの頭を撫でて、キッチンに向かった。

「いいって。
矢崎くんは休日出勤して疲れてるんだしさ。
それに契約締結が終わるまでは、私が家事するんだから。
はい、イブキと一緒にステーイ、だよ?」

矢崎くんの肩を押していき、強制的にソファーに座らせる。
ついでにイブキも抱っこしてきて、その膝の上にのせた。

「イブキ。
パパが晩ごはん作らないように、見張っててね」

「あん!」

任せろとでもいうのか、ひときわ高い声でイブキが鳴く。
なんかそれがおかしくて、ふたりして笑ってしまった。

寝室で着替え、髪はラフなひとつ結びにしてしまう。
あそこまでしても、戻ったら矢崎くんはキッチンに立っていそうだ。
どうしてそこまで、私のお世話をしたがるかね。

けれど予想に反し、リビングではイブキを膝にのせたまま、矢崎くんはソファーに座っていた。
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