結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
ウッドデッキに設置されているテーブルは矢崎くんの手によって美しく装飾され、できあがった料理が並んでいる。
それにあと、よく冷えたシャンパン。
今日は俺が作るからイブキの散歩にでも行ってこいと追い払われ、戻ってきたらこうなっていた。

「頑張らせていただきました」

椅子に座りながら、彼がおどけるように笑う。

「ありがとうございます」

それに私も、少しふざけるようにお礼を言った。

「じゃあ。
お疲れ」

「お疲れー」

まずはシャンパンで乾杯する。
満天の星の下、BGMは波の音だけ。
こんなロマンチックな夕食は初めてだ。

「もう、このあいだのイベントもだし、矢崎くんにはお世話になりっぱなしだよ、ありがとう」

改めて彼に、頭を下げる。
ぎりぎりどころか欠員が出て人手が足りなかったイベントは、彼が若手数人と手伝ってくれたおかげで助かった。
通常の仕事もそうだ。
育児中社員のフォローについて会長に進言してくれたおかげで、私の仕事状況は好転している。

「別に俺はなにもしてないぞ。
純華が頑張ってるから、なにか手助けができないかって思っただけで」

なんでもない顔をして、矢崎くんは料理を口に運んだ。

「その手助けが嬉しいよ、ありがと」

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