結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
そうやって困っている人がいたらすぐ手を差し伸べてくるの、本当に矢崎くんのいいところだ。

「でもさ、子供ができるとまわりにいろいろ迷惑かけちゃうから、考えちゃうよね」

子供の都合で遅刻早退、中抜けは当たり前。
このあいだのイベントみたいに、絶対に穴をあけられない仕事でも急に休まなければならない。
それに申し訳なく思っているんだろうなっていうのは理解するし、仕方ないんだと思う。
でも私は、それをフォローする大変さも知っている。

「そこは会社がしっかりフォローするべきだから、まわりに迷惑かけるからって子供を産むのに躊躇う必要はないんだ。
とはいえ、フォロー体勢が整ってないとあれだけどな」

矢崎くんが苦笑いし、私もそうするしかできない。
上司にいくらかけあっても、子供が大きくなるまでのしばらくの辛抱だと、取り合ってくれなかっただけに。

「てか、純華は子供を産む気なんだ?」

「うっ」

右頬を歪め、意地悪く彼がにやりと笑う。
それで、自分の失言に気づいた。

「誰との子供を産む気なんだろうな」

わかっている癖に、さらに白々しく矢崎くんは追求してきた。

「……や、矢崎くんとの子供に決まってるじゃない」

気恥ずかしくて彼の目は見られず、視線を机の上に彷徨わせる。

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