結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
その日、仕事をしていたら紘希からメッセージが送られてきた。

【会長からランチ一緒にどうかって誘われたけど、どうする?】

どうする?って誘われたのは紘希なのに、なぜ私に聞く?

     【行ってくればいいのでは?】

【行ってくればって、純華も一緒だけど?】

すぐに既読になり、新しいメッセージが上がってくる。

「……は?」

それを見て、間抜けにも一音発していた。

     【なんで私も?】

私なんてただの一社員で、会長とランチに行くような立場ではない。

【俺の、将来の嫁の顔が見たいんだってさ。
顔合わせが伸びただろ、それで待ちきれないらしい】

あれか、会長は爺バカなのか。
いや、今までの言葉の端々からなんとなく紘希はお祖父ちゃんっ子のように感じていたし、さもありなんだ。

しかし、嫁の顔が見たいとか言われても、もうすぐ別れる予定なのに困る。

【どうする?
無理にとは言わないが】

迷っているあいだに、さらに紘希からメッセージが送られてきた。
しかも淋しそうに目を潤ませた眼鏡男子の「お願い」
なんてスタンプまで貼ってくる。

「あーうー」

ここまでされて私が行かないなんて言えるはずがなく。

     【いいよ、わかった】

などと承知してしまっていた。

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