結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
彼の視線の先には、ネックレスが並んでいる。

「これはどうだ?」

強引に私を連れていき、彼が指さしたのは、雫型をしたブルーの石がついた、プラチナのネックレスだった。

「どうって……?」

意味を図りかねて、矢崎くんの顔を見上げる。

「婚約指環も改めて買うけど。
でも、当面の代わり?
ちょうど三月の誕生石のアクアマリンだし」

「えっ、そんなの悪いよ」

ダイヤをあしらってあるのもあって、それはそこそこの値段がついている。
そんなものをこんな気軽に買ってもらうわけにはいかない。

「悪くない。
どうせ結婚指環買っても、会社じゃ着けられないだろ?
これが純華の胸もとに下がってるのを見るたびに、〝俺の奥さん〟って嬉しくなるからいいの。
そうだ、俺もアクアマリンの石がついた、ネクタイピンを買うか。
そうすればお揃いだ」

もうその気なのか、矢崎くんは店員に言ってネックレスを見せてもらっている。

「でも、ほら。
明日、ダメになる可能性もあるんだし……」

本音で言えば、嬉しい。
でも、別れるときに彼との思い出になるものは避けたかった。

「絶対にお母さんを説得するから大丈夫だ。
だから、ほら」

手に持ったネックレスを、彼が私の胸もとに当てる。

「うん、いいな。
これ、ください」

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