結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
料理が届き、食べながら話す。

「そーだね……」

さっきから、こちらに向かう視線が鬱陶しい。
まあ、これだけのイケメンがいたら、気になるよね。
「モデルかな」なんて声も聞こえるし。
でも、一緒にいる私が似ていない姉妹と思われているのはいい。
しかし。

「……結婚詐欺でカモられてるんじゃない?
じゃなきゃあんな女、相手しないって」

すぐ後ろで聞こえてきた声にぴくりと反応する。
反射的に立ち上がり、声の主を引っ叩きたくなったが、かろうじて抑えた。

「……矢崎くんを詐欺師呼ばわりとか許せない」

矢崎くんほど誠実な人間を私は知らない。
なのに、私が彼と釣りあわないからって、こんな評価をするなんて。

「んー?
俺は純華が怒ってくれてるだけで満足かなー?」

しかし当の本人は、ゆるゆるふわふわ笑っていて、なんか気が抜けた。

「なんか……ごめん」

しかしそれもこれも、私が地味で男から相手にされなさそうな見た目なのがいけないのだ。
後ろに座っている子の半分でいいから可愛らしければ、矢崎くんにこんな思いをさせずに済んだ。

「なんで純華が謝るんだよ。
悪いのはあの女だろ」

淡々と彼は料理を食べている。
それはそうなんだけれど、そう言わせている自分が情けなかった。

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