結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
私が選んだところでどうせ決められないし、それに彼の好みの服が知りたいとも思っていた。
だったら、選んでもらうのが一番いい。

「じゃ、行こうか」

「うん」

矢崎くんに軽く手を引っ張られ、一緒にエスカレーターに乗った。
適当にビルの中を見て回る。

「ここ、ちょっと」

彼が足を止めたのは、きれいめファッションのお店だった。

「純華はさ、可愛いのよりこういう上品なのが似合うと思うんだよな」

私の身体に服を当て、矢崎くんは真剣に選んでいる。

「そういやスカート姿って見たことないけど、抵抗あるの?」

「あ、いや、機動性重視っていうのと、似合わないかなーって」

別に中高と抵抗なくスカートを穿いていたし、嫌だとかいうのはない。

「ふぅん。
じゃ、これ着てみて」

「う、うん」

差し出された服を受け取り、試着室へ入る。
ベージュのブラウスと黒のAラインスカートは落ち着いているが、似合うのか心配だ。

「ど、どうかな……?」

おずおずと自信なくドアを開いて彼の前に出る。

「うん、よく似合ってる。
俺の見立てに狂いはなかったな」

彼に回れ右をさせられ、改めて一緒に鏡を見た。
光沢のあるブラウスが私を上品に見せ、細身のスカートが腰高に、足をすらりと長く見せている。

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